「TMIウォレット」のカード予言
ワレット無しでの予言
「TMIウォレット」は、ラリー・ベッカーのThe Most Incredible Walletのことです。
通常の予言・透視用にはこのワレットが有効ですが、
以下はこのワレット不要でも演じられる<カード予言>の別手順です。
これは解説書の<【演技例3】カードの予言>にあるデックを使います。
使用デックの、ボトムカード4枚をトップに回してカードケースに入れておいたほうが、演者の作業が一つ減ります。
一つ減っただけでもかなり楽で、効果は同じなわけですから試してみる価値はあります。
トップに回した4枚のいずれかを選ばれても暗記は容易でしょうし、演技に問題はありません。
このデックでは、カードの名称を言われた瞬間に枚数目が分かるので、ワレット無しで次のような演技が可能です。
レギュラーデックをカードケースから出して、観客の顔を見て(デックに視線を一切落とさず)シャッフルしながら台詞。
「好きなカードを1枚、おっしゃってください。数とマークです。」
シャッフルし終えたデックを置き、カードの名称を聞きます。
「私の直感、第六感と、日頃の行いが正しければ○○枚目にあります。」
観客が指定したカードがその枚数目から出てきます。
説得力のあるフォールスシャッフル必須
デック検めは「カットしてはフェイスを見せる」を繰り返すか、高速ドリブル程度でしょうが、検めを省略しても「これはスゴイわ・・・」と驚かれます。
これを完璧に演って驚かれないなら、十八番の手品を演っても驚かない観客だろうと捉えます。
稀に「何が不思議なのかわからない」という見当外れな見方・考え方の観客もいて、自分自身がカードを指定したことを忘れたのか、この演技を見た直後に「全部同じトランプなんじゃないの?」と言ってくる人もおられ、頭を抱えます。
おそらく、虚を突かれるような驚きによって頭の整理がつかなくなった状態ではないかと感じています。
【ネーム・オー・カード】(「メンタルマジック事典」54P.参照)の一種かもしれませんが、これを以って「手品だ、奇術だ、マジックだ」とは考えておりませんので、「カーディシャン、カーディストのデモンストレーション」として演じることはあります。
「カードの名称を言われた瞬間に、シャッフルしたはずのデックの何枚目にあるのか、即答できる」という現象は、手品として成立していないと捉えており、超人芸のようなものです。
仮にこれが手品として確立されたものであるなら、デック内の透視になるでしょうか。
「手品が好きだけれど、1対1の対決の様相になるのが嫌い、タネを見破ってやろうと手元を凝視するだけの、ミスディレクションによる錯覚を楽しもうとしない観客や、手品師と聞いただけで鼻で笑う観客が苦手。」という方にオススメの、「これは手品ではないんだけど・・・」と言いながら始める話の種として。一見の価値ありの技術として。
一発芸っぽいですが、身につけると強力な武器にはなりえます。メリットは、これひとつで観客を惹きつける事ができる点です。
このデックを使うにしては邪道に近いデモンストレーションだと思います。トリックが単純ですし、演者としての工夫も面白みもありませんから。
しかし、トリックを知らなければ超人芸に見えることは事実です。
「手品ではないんだけど」と言ってから演じることで、観客が手品嫌いの人でも見てくれるでしょうし、見せて関心を持ってくれたら、そこにあるのはレギュラーデックですから別のカードマジックにも繋げられると思い、考えた手順です。
正当な使用法は当然、TMIウォレットによるカード予言。本当によく考えられている、計算し尽されたメンタルマジックです。
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