「テレパシーを受け取る」という演出

観客の心の中のカードを当てる!

● 以下、商品「インターセプト」に関する話になりますが、その当て方は他にも参考になると思います。

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インターセプトの感想を率直に申し上げますと、「巧い」の一言になります。
今の所、穴は見当たりません。巧さを感じます。

『インターセプトはOut of Sight-Out of Mindにとても良く似ている』、と聞いていましたが、別物のように感じます。

Out of Sight-Out of Mindには、キーカードとカバーカードの概念がありません。
演じる際には僕なりに研究して原案を変えて演じています。

ブレイクではなくキーカードを使用すること、ボトムに無関係のカードを配置することは『インターセプト』と『Out of Sight-Out of Mind僕バージョン』は似ています。
しかし、キーカードはまだしも、カバーカードにより最初の3枚を隠すという発想は全くありませんでした。
非常に勉強 になります。大変な財産を手に入れたと感動し、目からウロコでした。

当初、Out of Sight-Out of Mindの原理を知った時、フェイスを相手に見せていく際に、偶然とはいえ、いきなりボトム1枚目に相手が覚えたカードが現れた場合に不自然に感じられや しないか、またはデックの広げ始めであるがゆえ、心の準備ができていないので相手が自分のカードを見逃しやしないか、と考え、Out of Sight-Out of Mind実演時には無関係なカードをボトムに2枚配置して僕バージョンとしております。

無関係のカードを2枚配置することで、とりあえずは「演者のシャッフルが何か作為的なものに感じる」ことや「偶然とはいえ、いきなり過ぎ」という 不自然さを和らげること、また、ボトム1枚目を手に取り、「こうして広げて見せていきます」といった説明時には絶対に相手のカードが現れないため (ボトムの2枚のみが見えている状態です)、手にとったボトムカードを元の位置に戻し、「では行きます」と広げ始めることによって、最悪でも相手 のカードは3枚目に現れ、それに至るまでの経緯において充分に心構えをさせることができ、覚えたカードを見逃すこともなければ、作為的な配置に感 じることもないであろうと、そう思っていました(僕の中ではこの方法はベストではなくベターであり、未だ要研究の段階でした。しかし、いずれにせ よ最終的には当てられますし、不可能設定が極端に高いものを観せられたと驚かれますので、演者としての工夫する思考がここで止まっていました)。

それでも人の心理は不思議なもので、多くの(一般的な)観客は「覚えたカードは、デック全体をよく切り混ぜたのであれば、大抵、中央付近から現れ る」と無意識に思い込んでいるようで、「ボトム付近に現れることが作為的に感じる」と思わないまでも、フェイスを広げ始めた直後、偶然とはいえ、 急に現れたことに対し驚くようです。

その驚きを察知し、逆利用し「最初の3枚にあったか、なかったか」を質問なしに見極めることには役立ちましたが、「広げ始めに覚えたカードが現れることへの違和感」「スタート直後に覚えたカードが現れるように仕向けて、こちらの顔色をうかがっているのではないか」というような疑念を完全に 払拭させることは出来ませんでした(特にカードマジックをかじったことのある人や見慣れている人の前では)。

インターセプトのカバーカードの役割は、あえて最初の3枚を見せないということでこれらの問題点を解決しております。
特に難しいハンドリングを使 うわけでもなく、見事というほかございません。
繰り返しになりますが、あえて見せないという発想が僕にはまったくありませんでしたので脱帽してお ります。

次に、カードの絞り方です。3箇所のどこにあるかについてです。

インターセプトでは「テレパシーを受け取る」という演出ですが、Out ofSight-Out of Mind実演においてもそれに似た演出を僕は演じています。

「あなたのカードが出てきたら、心の中で『それ!』『今のだよ!』と叫んでください。
その心の叫びを僕がキャッチします」という演出です。

「もう出ましたか?」と尋ねるのは読心術として直接的すぎると感じたからにすぎません。

「今、フッと、何かを感じましたが、『それだよ!』と叫びましたよね?」の方が間接的な問いかけであり、自然ですから。質問したようには感じにくいでしょう。

この辺りは僕の演技とインターセプトはよく似ています。慣れると「カードが出たか、まだ出ていないか」が、質問なしでわかるようになるから不思議 です。

慣れてきたら試してみる方法の一つとして、下記のようなものが挙げられます。

デックの1/3を過ぎたら手を止めて「ん・・・」とつぶやきながら相手の顔を見る。余計なことは言わない。
「なんですか?」と訊いてくるのでその語調や表情によって「最初の3枚で出たか出ていないか」を見極めます。
中にはあからさまに笑ってごまかす人 がいます。「いいから次へ行って!」という顔です(笑)

出てないと判断すれば中央の3枚を通りすぎて、やおら相手の方へ向き直り、思い出したかのように「出ましたね」とカマをかけます。
急に言われたの で相手は驚きます。「出た?今ですか?」の様な内容を尋ねもしないのに言って来ます。
相手の表情や口調から判断し、中央の3枚で出たか出ていない かを見極めます。

「いや、何も言わないでください。出てないですね・・・これ・・・」と先ほどとは正反対の言葉を投げかけます。

この時の反応で、中央の3枚で出た時は、相手がかなりのポーカー・フェイスではない限りわかります。
出てなかったと判断した場合は「いやさっき ね、僕、冒頭で手を止めたでしょ。
あの時出たなと感じましてね、『出ましたね』と今申し上げたのはそういう次第です」のように、「いつ」という部 分を明確にしないことで逃げる事ができるようになります。

僕が「Out of Sight-Out of Mindには絶対的な自信がある」と以前申し上げたのは、この箇所における駆け引きにおいて読み間違えたことがないことが挙げられます。

安全策としてはインターセプトの「テレパシーキャッチ」の演出のほうが効果的です。
お互いの波長が合わなければキャッチしにくい、送信側の念が弱ければキャッチしにくい、受信側の準備が整わないうちに送信された場合もしかり、 デックは流れるように広げていきますので念をピンポイントで捉えにくい、そもそもテレパシー自体がいつもうまくいくとは限らない等、「うまく受信 できない弁解」の理由はいくつも挙げられますので、質問するよりは優れています。
特にメンタルマジック初心者はインターセプトの演出のほうが向い ているでしょう。

僕はイメージの送り方、受け取り方をテレビやラジオを例えにあげて説明しています。
テレビ局が放送していなければテレビがあっても映像は見えない。
テレビ局が放送していてもチャンネルがあっていなければ別の映像が映し出される。
テレビの電源が入っていなければ受信は無理、というようなことです。

これは読心術を演じた際に、「この人は常に心を読める人だから怖い」と思われないようにするため、大変大切なことと真面目に考えています。
現に「Out of Sight-Out of Mind」を演じている際にこっくりさんと勘違いして気分が悪くなった方もいらっしゃいますし、友達としてお付き合いしてくれなくなった方もいらっしゃい ます。

稀ではありますが、感受性の強い、超常現象を信じやすい人を安心させるために、「僕が今、心を読むことに成功したのはあくまでもあなたが僕に伝えようと頑張ってくれたからです。
普段はそんな送信はしないでしょう?ですから僕があなたの日常生活において心を読むことは出来ません」と言ってあ げて心のケアをしています。

テレビやラジオはその例えにおいて最適と考え、サイレント・ランニングにおいても常にこの説明はしています。
バカにされてもです。
「読心術やテレ パシーなんて嘘だよ」と言うよりずっと効果的で説得力があると考えています。

もし演技冒頭で相手がこの種のメンタルマジックを嫌がったらやめるべきですね。
僕はアマチュアですから。

次にカードの当て方についてです。

僕の場合はいたってシンプルです。
3箇所に散らばった3枚のいずれかだとわかれば、あとはOut of Sight-Out of Mindの原案どおり、2つのパケットに分けてダブルリフト等により、「相手からカードを訊いた瞬間に自動的に当たる方式」を使っていましたが、インター セプトは全く異なります。

ケース3以外は相手から見て演者は読み間違えたように見えます。
ところが「いえ、○○だと思います。違う? では何だったのですか」と尋ね、頑なに演者は初心を通します。
やり取りによって既にカードは判明しているので正解のカードを裏向きで伏せて置き、ここでもまだ「○○だと思います。そんなはずはない」と意見を通し、相手にめくらせ、演者が伏せておいたカードが正解であったことを示しています。

この当て方に大変興味を覚えました。

通常のカード当てで、仮にカードAが正解なのか、カードBが正しいのかわからなくなった場合(もしくはそのように二択に絞ることが限界の演目だっ た場合)、カードAを伏せて置いて、「あなたの覚えたカードはBです」という手法は使います。仮にBが正解であれば演者の台詞が当たっているの で、伏せたカードをすみやかにデックに差し入れることで解決でき、逆にAが正解であれば「え?本当ですか」と驚いてみせ、カードをめくって「あ あ、当たってましたね」と逃げられます。
この方法は古典的ではありますが、相手が知っていても「やられたなーうまいなー」で済みますので、今でも 使う時は使っています(その他としてはAとBをトップとボトムにおいてドリブルによって中央付近で二分割し「ここで感じました」と言ってクロス カットフォースの形にし、相手にカードを尋ね、クロスされたすぐ上を見せるか、すぐ下の裏向きカードを見せるか等のアウトは今でも多用していま す)。

インターセプトの当て方はこれに酷似したものと、勝手に思い込んで読み進めていましたが全く異なるものでした。

僕が興味といいますか関心を持ったのは、このインターセプト独特の当てられ方を体感した観客はどのように感じるのだろう、ということです。
一般に見るサッカートリックともちょっと違うような感覚がします。

少々演者を意地っ張りのように感じやしないか、わかっていて頑なに嘘を突き通した演者に対しどう思うだろうか。

演じる側と見る側の感覚は全く違いますので、まずはインターセプトを演じて、感想を聞いてみました。

4人に見せて、全て感想は同じ。

「すごい」「怖い」この二言しか返ってきませんでした。

なかにはあぜん呆然、「言葉にならない」といった表情の方もいらっしゃいました。

僕が聞きたかった「ラストの当てられ方についてどう感じたか」は、誰も答えられず、「どう感じたも何も、すごい」と驚くばかり。

特に演者が傲慢とか生意気とか、そのような感覚はなかったように見えます。

※ この4人はサイレント・ランニング・ダイレクトマインドリーディングを体感していない方々です。

最後にインパクトについてです。

どうしてもOut of Sight-Out of Mindと比較してしまいますが、別物と考えた上で、インパクトはインターセプトがやや優ります。

僕は実践で奇術の価値を感じていく主義です。インパクトがなければどれほど手順が秀逸であろうとレパートリーには入れません。

「心の中のカードを当てられた」という驚き以外のラストの驚き(カードをめくった時の驚き)は想定外そのものであり、そこにあるはずのないカード がまぎれもなくそこにあるという驚き、これがインターセプトにはあります。

ただし、カードがいつの間にかスイッチ、もしくはチェンジされたという、いわゆる変化現象、すり替えのテクニックを体感したとは感じないそうで す。

ダブルリフトによる最後の示し方に慣れてしまった僕が、今後、インターセプトの当て方で行くのか、元に戻すのかはこれからの課題です。
データが4 人では少なすぎますから。

以上ですが、カードコントロールのやりやすさを考えたらインターセプトを先に学んだほうが、メンタルマジック初心者でも入りやすいのではないかと 思います。
簡易バージョンではなく、けして難しくありませんのでオーバーハンドシャッフルを使う方法を多くの方々におすすめします。
消去法によるカードの絞り方も3枚ですので、EASYです。
カード読心術のイロハを学ぶ最初の一歩としても最適で、自分のものにすれば一生ものの 魔法になるでしょう。

僕はオーバーハンドシャッフルが好きで、1枚のカードコントロールもフォールスシャッフルも、殆どがオーバーハンドシャッフルです。

そう考えて振り返ってみると、インターセプトは僕に適した演目だと運命的なものを感じます。

ありがとうです。

惜しむらくは、インターセプトを知るのが遅すぎたかなという点です。

多くの方がインターセプトの方法論を知っていればそれは魔法には見えませんか ら、相手を見て、少なくともインターセプトは知らないだろうと思われる方をターゲットにしようと思います(幸いにして、日本人でOut of Sight-Out of Mindを演じる人が少ないと聞きました。

僕は両方できるようになった。
これは大きな財産です)。

ー以上ー

 

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