自由に決めたカードと数字で起きるACAAN:Any Card at Any Number
観客が決めた数字もスートも、演者は最後まで何も知らされないまま起きます!
● 最近私はSR ACAAN(サイレントランニング式ACAAN)を見直し、好んで演じています。改めて素晴らしい作品に巡り会えて感謝しております。
*SR ACAANとは:「サイレント・ランニング」続編の「ラン・サイレント、ラン・ディープ」の一番最初7頁で解説されている、非常に賢いセルフ・ワーキングのトリックです。⇒<サイレントランニング式ACAAN現象>です。
でもこれは、サイレントランニング法を使わない橋本式SR ACAANです。
(「ラン・サイレント、ラン・ディープ」を既にお持ちの方にも参考になると思います。)
以下、「」内は全て演者の台詞です。原案と比較し、ほんの少し趣きが異なります。勿論、こちらの方法が原案よりも優るとは思いませんが、私にとってはこちらが演じやすい気がします。
カードのマークを決める
「先ずトランプのマークを決めます。ハート、クラブ、ダイヤ、スペードの4つのマークのうち、1番好きなマークを1つ決めて思い浮かべてください。勿論、内緒で決めます」
「決めました?今なら変えてもいいです」
(間を置いて)
「決まりましたね」
(じっと観客の顔を見て心を読んだ演技)
「そのマークを捨ててください。代わりに1番嫌いなマークを1つ決めて思い浮かべてください」
(じっと観客の顔を見て再び心を読んだ演技)
「そのマークもたぶんダメですね。それも捨ててください。好きでも嫌いでもない、あなたにとってどうでもいいマークが2つ残りましたね?どちらかひとつをメモしてください」
(メモが終わったら)
「そのマークは内緒です。あなたしか知りません。次に数字をいくつか決めますが、今決定した秘密のマークが仮にクラブであれば1と書いてください。まだですよ。ダイヤ、んー、・・・ハートであれば2と書きます。次は・・・そうですね、スペードにしましょう。スペードであれば3です。3と書きます。ダイヤであれば4です。1から4までのうちのひとつですが、マークを知らない私にはどの数字が選ばれたのかはわかりません。ではメモをどうぞ。」
(メモが終わったら)
数字を決める
「次に一桁の数字を自由に1つ決めてメモをしてください。一桁ですから10はダメです。ゼロもダメです。」
(メモが終わったら)
「勿論、今決定した一桁の数字もあなたしか知りません。では次に・・・。」
後は原案通りの手順ですが、先に観客の頭の中でスートを決められるので、原案の『数字に応じてスートが決まる』というルールよりも作為的なものが感じられず、フェアに感じます。
代わりに、『スートに応じて数字が決まる』ことになってしまいますが、
数字はこの後、1から9までのうちのひとつを自由に決め、そして11から49までの二桁にし、十の位と一の位の2つを足すという作業がありますので、どう転んでも「演者が知る由のない数字が決定した」という観客の感覚は揺らぎません。
勿論、スートは観客が自由に決めたものです。
● コツは、台詞のたびに「それはあなたしか知りようのない情報(スート、数字)です」と、ことさら強調することです。
「スートを知らない私には選ばれた数字を知る由もない。知る由もない数字と自由に決められた一桁の数字で構成された二桁の数字も当然、知る由もない。知らない数字2つの合計も勿論、知る由もない。スート?あなたが頭の中で決めたんだ、私には知る由もない。」という論理を演者も納得して演じることです。
本当に知らないので台詞に嘘がありません。一切の後ろめたさがゼロです。
● また、もうひとつのメリットとして、スート決定のシーンでのマインド・リーディングの演技により、「そのマークではおそらく上手くいかないと思う」と、“知りもしないスート”を変えさせて読心術の効果を醸し出しています。
“好きでも嫌いでもない、どうでもいいスート”というのは、より一層ランダム性のあるものです。
デックを用意したら演者がすべきは台詞だけ。何もしない。
観客が決めた数字もスートも、演者は最後まで何も知らされないまま起きるAny Card at Any Number.
「決めた枚数目から決めたカードが出現」というエニエニ効果の他に、9割の観客が「心を読まれた気がする」と自らの背後を見ます。
背の向こうに誰かがいるのではないかと。
未だにこのSR ACAAN、誰にもトリックがバレていません。
デックはレギュラーですから、続けて様々なカードマジックを演じられます。
高級感があり、贅沢なオープニングトリックであり、秀逸なセルフワーキングMAGICです。
改めて素晴らしい作品だと思います。
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