「スイッチボックス」を使った手順

私はスイッチボックスをたくさん持っています。
ケネディの「ミステリーボックス」、「オメガ・エクスチェンジ」の他、「ビジョンBOX」等の透明ボックスもすべて持っていますが、
今考えている手順には最近販売された「スイッチ・カップ」が最適だと思います。

今回のルーチンでは時間のズレを導入してスイッチ・ツールを使います。

まず最初にダブルブランク・カードを検めてから四つ折りにし、「スイッチ・カップ」の上に置き、「このカードは後で使います」と言っておきます。
それからJosuha Jayの「アウト・オブ・サイト」の方法で、観客の心の中で選んだカードを当てていきますが、原案の方法、ギミックデックを使わずに、マークドデックを使い当該のカードを裏から読んで取り出してから、Gregory Wilsonの「コールド・ケース」を利用して残りのデックをブランクデックとスイッチします。
その後で、「あなたのカードは〇〇です」と宣言して、そのカードを表返して見せます。
それからデックを表向きにしてスプレッドするとすべてがブランクです。ブランクデックはテーブルの下に片付けます。

次に、この選んだカードの表にサインをしてもらってから四つ折りにし、以前にテンヨーで販売していた二重チューブでカードを消します。
ここで次の手品に入るふりで、先ほど消したサインカードを「リボルブ」(ブランクカードで作ります)にセットしてパームし、カードケースに入ったデック(先ほどのデックとは違いますが、中身はブランク(に見せる)なので同じデックだと観客は勘違いします)と一緒に取り出し、デックを少し取り出してブランクだと見せてから、「あっ、最初のカードを忘れてましたね」と言って「スイッチカップ」のカードを、パームした「リボルブ」とスイッチします。
観客にとってはまだ何も起きていません。
「そう言えば、先ほどサインしてもらったカード覚えてますか? 裏は何色でしたか?」と言いながらブランクを赤バックに変えます。(「リボルブ」現象)
「カードを覚えてますか。〇〇でしたね。それにサインがありました。こんなサインでしたっけ」と言ってカードを開きます。
この後で桂川新平さんのブランクデックの手順に続けます。

私が工夫したのは次の2点です。

1)私は透明ボックスとブランクデックの手品が大好きです。理由はわかりません。ハイヒールの好きな男性がいますが、それと同じようなフェティシズムかも知れません。
「アウト・オブ・サイト」は原理的にブレイン・ウェーブと同じであり、ブランクデックを使うやり方を沢浩さんから駄目だと言われましたが、全体の美観から今回は敢えてブランクデックの手順を考えました。
普通のデックのはずが、観客の選んだ一枚を残してすべてブランクになり、最初においてあったブランクカードを観客のカードに復元し、ブランクデックを元の普通のデックに復元するという手順です。
これは物語として気に入りました。それに私の手順ではサインカードも残りのデックもすべて検められますから、沢さんが危惧した問題はクリアーできていると思います。
(今はコロナで会えませんが、次回帰国する時に実際に見てもらい、意見をもらう予定です。)

その際に「アウト・オブ・サイト」の原案を嫌ったのは、絵札が選べない、そして観客にサインしてもらう時、ギミックデックだと不自然さを感じる可能性があるからです。
そこでデックスイッチという力業をするわけです。
私は本来、こういうやり方を好みません。パームもそうです。何となく、インチキしているような気がして知性を刺激されません。しかし今回は他に良いアイデアを思いつかないので仕方ありません。

またテンヨーの二重チューブを使うのは透明チューブが好きなことの他に、マーキュリーホールドが下手だからです。
それに「リボルブ」にセットしますから、テーブルの下で四つ折りにしても同じですし、それなら二重チューブで消せば良いということになりました。

2)さて「スイッチ・カップ」を使う理由ですが、「ビジョンBOX」などの透明ボックスも良いのですが、「リボルブ」とセットして使う場合は「スイッチ・カップ」がいろいろと便利です。
これは予想していなかったのですが、「リボルブ」と「スイッチ・ カップ」を組み合わせて使うと、スイッチがとても自然になります。
⇒四つ折りの理想状態で保持されます。偶然発見した利点です。

タイムミスディレクション

それと私のやり方ではダミーを直接にターゲットカードとすり替えず、まず「リボルブ」セットにスイッチしますから、その時にタイムミスディレクションが効きます。
透明ボックスタイプでは、ボックスからカードを出してからテーブルに四つ折りカードをしばらく置いておく正当化が難しい気がします。
「スイッチ・カップ」なら、場所を移動するだけでスイッチできますから、観客にとってはまだ何も起きていません。最初テーブルの縁に置いておいたカードを皿ごと真ん中に移動しただけです。
「リボルブ」のスイッチは鮮やかであり、かつ自然ですから、スイッチはここで初めて起きると感じられ、最初のスイッチから注意がそれると思います。

「スイッチ・カップ」でブランクカードと「リボルブ」をスイッチする際にネタと「リボルブ」の持ち方(セット)を少し変えました。
始めはクラシックパームだったのですが、これだと「リボルブ」が困った位置で閉じる場合があります。そこでフィンガーパームあるいはサムパームのように持ち、ネタを上から置くのではなく、皿の上からつまむような動作でスイッチすると良いことがわかりました。

― 小坂井敏晶氏(フランス在住アマチュアマジシャン)よりの寄稿

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