ピークワレット6手順例

【ピークワレット 演技例】

全てを知っているわけではありませんが、大抵のピークボード、ピークワレットは2通りに分けられます。

 ア、観客の手元に情報(メモ)が残るタイプのもの

 イ、ワレット内に情報(メモ)が残るタイプのもの

(ア)は【Perfect Clear Clipboard / Guy Bavli】のようなもの、(イ)は【Telethought Wallet】のようなものです。

それぞれに一長一短があります。ここでは(イ)のタイプのものについて特化し、解説します。

 【MMメンタル・ウォレット】は気に入っていて随分と長く使っています。

上記で言えば(イ)に属するピークワレットです。弱点は観客が書いた情報(図形や数字のメモ)が観客の手元に残りませんので、「何故ワレットに入れるんだ?」と思われやすく、厄介です。
どうしても読心術よりも透視寄りの演技になりがちです。透視演技で用具を疑われると致命的ですので、そうならないようにワレットに重きを置かないように心がけます。

観客が自由に思い、自由に書いた情報は「観客のもの」です。観客も印象として自然にそう思ってしまいます。
自分のモノ・情報を取られて、演者が持っている黒いケースに入れられるのですから、「なんかへんだな」感は拭いきれません。腑に落ちないと思われたら難しい演技になってしまいます。

 【MMメンタル・ウォレット】の長所は「観客の書き損じが気にならないこと」「場所(照明など)を考えなくて良いこと」
「片手で扱えるスイッチ系ワレットとしても使えること(カードフォース、アウトも可能なヒンバーワレット。たくさんの枚数は入りません。)」です。
ピーク演技で書き損じをされるともう演技不能なピークワレットもありますので、それを経験してしまうとMMワレットは気楽です。

6つの演技例・手順例

下記に6つの演技例をまとめました。私が好きな手順は、例4,例5です。

 演技例 1

勢いで通じてしまうといいますか、淡々と進めて「いつの間にか現象が起きていた」ようにしてしまえたら問題はありません。冷静に、飾らず。これが王道だという気持ちで。
「当てる」という空気を冒頭で消し、ワレットから名刺を出し、図形や数字などを「後で使うもの」として説明します。書いてもらったら名刺を当然のように受け取ります。

受け取る際に「あれ?何故、私のもの(情報)なのに渡さなきゃ行けないの?」と思われないために、『演者の名刺』を渡して書いてもらうわけです。
演者の名刺ですからそれは「観客のもの」ではありません。紛れもなく演者のものです。名前が書いてありますから。
メモ用紙に書いてもらうと受け取りにくくなります。

このように、観客には先々を考えさせないように、演者は泰然と進行します。するとピークワレット演技は、すんなりうまく行きます。楽しいぐらいに。

受け取った名刺をワレットに入れ、一旦ワレットごと演者のポケット・鞄などにしまいます。読心術の演技をして「大体わかった」旨を述べ、ペンを手にします。ここでその「大体わかった」とされる情報を書こうとしますが用紙がテーブル上にありません。「ああそういえば」という感じでポケット・鞄からワレットを出し、ワレットから白紙の名刺を出してワレットをしまい、「こんな感じでしょう?」と書いてみせます。

これで終了ですね。余計なことをしない。
答え合わせのために「念の為にあなたが書いた名刺を・・・」とワレットから出してしまうと要領の悪さといいますか、何度もワレットを開けていますから、二度手間、幾度手間の感覚を覚えます。
「あれ?なんで入れたの?」と思われてしまう要素の1つです。読心術として演じる、最もシンプルな演技例が以上です。
MMワレットと名刺とペンがあれば特に準備は不要です。

ササッと済ませていますが、『ワレットに観客の書いた名刺を入れただけでもう情報はシークレットになり(見えず)、ワレットを閉じると当然、裏表どこからも見えないこと。』ぐらいは示しましょう。
台詞で直接それらを言って示すのではなく、動作、作業を見ていれば「これじゃあわかるわけないよな」と思ってくれるようにしたほうが望ましい演技です。

なお、使用するペンの種類によって名刺を伏せても、ワレットに入れるため持ち上げた瞬間に光源の角度によっては情報が透けて見えてしまいます。(本来使うべきピーク機能を使わずとも。)

薄い名刺もあり、濃いペンもあります。ここは注意しましょう。ワンダービジネスカードの響さんがこの『本来のピーク原理を使わず、わかってしまう問題』に(ワンダービジネスカードの)解説動画内で触れておられます。響さんの解説がなければ気づきませんでした。
使用するペンについては研究が必要です。「透けて見えますよこれじゃ」と観客に指摘されるようではNGです。

 演技例 2

例1と同じように進め、読心術の演技をして「大体わかった」旨を述べ、ペンを手にします。
やはり同様にテーブル上で用紙を探してから、ポケットからワレットを出し、ワレットから白紙の名刺を出しますが、この時に2枚の名刺を出します。

ワレットをしまいながら「今、大体わかったって言いましたよね?ということは外すかも知れないわけですよ。」と言うことでMMワレット特有の秘密の動作・作業の時間が直前にあったことを忘れさせ、そもそもワレットがあったことも思考から外させます。
台詞による思考のミスディレクションであり、「どういうことだろう?」と、これから書かれる名刺2枚のほうへと注目させます。

ここまでをスムーズに行えば成功したも同然、1枚めに『ちょっと惜しいハズレ』を書き、見せずに、「今のは候補です。念には念を入れ、もう一枚書きましょう。」として、2枚めに正解を書きます。
2枚の名刺を渡して「近い図形(数字)はありますか?」と訊いた時点で驚いていることでしょうし、ワレットのことなど忘れています。

MMワレットの読心術演技は、どれもこれも「名刺だけで演じていますよ」という演技プランです。ワレットを使うのはそれが名刺入れだからです。(厳密には「イメージだけで演じていますよ」です。)

 透視演技の場合は「ワレット越しに、見える」となります。

 演技例 3の1

これは読心術ではなく透視になります。良い方法だなと思いましたので記しておきます。

郵便の方や宅配業者の方が使っておられる、大きくて厚い封筒がありますよね。厚紙で出来ているような。これ1枚とMMワレットを使います。封筒に仕掛けは要りません。

情報を観客に書いてもらった名刺をワレットに入れ、開いたままテーブルに置きます。厚手の封筒を渡して点検してもらいます。
ワレットから白紙名刺を出し、ワレットを閉じます。封筒を返してもらって中にワレットを入れますが、封筒の陰でワレットを片手で開き、ピークしてから封筒に入れます。
そのまま封筒を持ってもらい、名刺に書き付け、当ててしまいます。

あの厚手の封筒は両手で開くのが通常の扱い方です。封筒の口を天井(上)に向け両手で持ちます。右手にワレットを持っているなら左手で封筒の向こう側を持ち、右手で封筒のこちら、手前側を開きます。
封筒の陰でワレットを開き、ピークしながら上にスライドさせて、ワレットを閉じながら封筒に入れます。意外に簡単です。
滑らせながら封筒に入れるとオートマチックにワレットが閉じられます。是非、お試しください。

 例 3の2

封筒の陰でワレットを開くことが難しいなら、ピークのタイミングをずらします。
例えば封筒点検の前にワレットを閉じ、点検の間にワレットから白紙を取り出し、ピークを終えます。封筒にワレットを入れて厳重に粘着テープで封筒の蓋を閉じ、透視の演技の後、正解を書き付けて当てます。
ここまでやってしまえば、答え合わせのためにワレットをもう一度封筒から出そうとは思いません。

あの大きな厚手の封筒は、それを登場→紹介するところから既にミスディレクションがかけられています。
封筒に仕掛けがあると誤誘導するのもよし、封筒に気を取られているうちにワレットでピークし終えてしまうのもよし。
演者の手元から注意をそむけることが容易になり、あの封筒1つによって何回もピーク機会が訪れます。他のギミックでも使ってみてください。

大きな動作で小さな動作を隠すことはミスディレクションの基本です。大きな封筒登場と同時にワレットピーク面を開いても、まず気づかれません。

 演技例 4

観客にMMワレットをあずけて、なおかつ情報をピークすることが出来る手順です。

名刺に情報を書いた観客以外の観客にお手伝いをお願いします。「お手伝いと言っても、ただ立ってくれたらそれで良いのですよ」と言って、演者の横に立ってもらいます。

演者は「私と事前に打ち合わせとか、ありませんよね?」と言いつつ、少し後方にまわって、立っている観客のヒップポケットにワレットを入れます。(ここでピーク完了)

「回れ右をしてくれますか?」と言って背を向けさせます。ヒップポケットに入ったワレットが見えます。どう見ても内部の名刺は見えません。
透視の演技後、メモパッドなどに書きつけるか、数字であれば言い当ててしまいます。

名刺に情報を書いた観客本人のヒップポケットにワレットを入れても成立しますが、本人が見えていないだけに、後ろで何をされたのかが上手く感じ取れず、『助手』と『観客』の二役は微妙です。
これは演ってみないとわかりません。(自分が観客の立場になって考えてみると「何故、視界から外れる位置にワレットを持っていくのだろうか?」と疑問視する・・・かな? 秘密の情報を書いた当人ですからね。)

お願いをされた、第三者の観客のほうが「しっかり立っていてくださいね」という指示に忠実に従い、勝手に背後に目を向けたり、ポケットにあるワレットを手に取ったりはしません。

※ 「ヒップポケットに入れたMMメンタルウォレットを勝手に開かせないように」と、輪ゴムなどで強く止めてしまうと痕が付きやすいため、お奨めしません。他のヒンバーワレットでも演りません。密閉するとしたら封筒に入れるのがベストです。

  演技例 5

冒頭で述べた、『観客の手元に情報(メモ)が残らず、演者のワレット内に情報(メモ)が渡ってしまう不審感』(「何故、手放さなければ当てられないのか」という疑問)を緩和させる手順です。

名刺を2枚渡し、『観客にとって、誕生日を知っているお友達』のイニシャルとその方の生年月日の『月』(何月生まれ)をメモしてもらいます。(例:『E/H』『5月』それぞれ1枚ずつ)

パッと人物が浮かばなければ、芸能人でも構いません。

書いてもらったら伏せて、どちらでもいいので1枚を受け取ります。『E/H』がテーブルに残り、『5月』を受け取ったとしましょう。
演者は『5月』名刺をMMワレットに入れ、閉じます。『E/H』名刺は観客のポケットにしまってもらいます。

この状況は『観客の手元に情報(メモ)が残らない』という不自然さを半分、緩和させています。

演者:「イニシャルをあなたが持っているのか、生まれ月をあなたが持っているのか、まずそれを当てましょう。確率1/2です。」

そう言ってワレットから白紙を出し(ピーク完了)、「冬に生まれた方ですか?それだけ教えて下さい」のように質問をします。
質問をされると観客は適した回答を探しますので強力な思考の誤誘導(ミスディレクション)になります。これでピークには絶対気づかれません。

演者:「あなたはイニシャルの名刺を持っていますね?」と言い当て、速やかに「ポケットから出して見せてください」と言います。当てられたので指示に従うものです。
本来、よく考えるとイニシャルを公開する必要はありませんが、当てられると驚きますのでそこまでは考えません。

演者:「E/Hさんですね。春に生まれた方・・・いえ、何も言わないでください。」

後は白紙に「5月生まれ」と書いて、当てて終了です。イニシャルから生まれ月を読み取ったという演技になります。

 ※ 『E/H』『5月』と、それぞれ1枚ずつあれば、『E/H』が手元にあると『5月』を思い出し、『5月』が手元にあると『E/H』を思い出せます。二桁の数字を書かせてワレットに入れてしまうと、手元に資料が残らないため、どの数字を書いたのか、観客は最後まで覚えていなければなりません。そこにストレスを感じたら観客の脳裏に「何故、手放さなければいけないのか」という疑問が生まれてしまいます。本手順では、手元に手がかり1枚を残すことで、そういった思考進行を防いでいます。なるべく「当てる」と言いたくないため「忘れないでくださいね」も言いにくいわけです。トランプによるカード当てとはこういったところが異なります。

  演技例 6

例5で、「イニシャルをあなたが持っているのか、生まれ月をあなたが持っているのか、まずそれを当てましょう。確率1/2です。」という流れに抵抗が有る方に。

事前にMMワレットピーク面の右側ポケット(透明窓ではないほうです)に「スペードの3」と書いたメモを封筒に入れてセットしておきます。
MMワレットはヒンバーワレットですのでもう片方の面にも封筒を入れておきます。こちらはカラの封筒で構いません。

例5と同様に手順を進め、ワレットに1枚、観客のポケットに1枚の名刺が入っているところまで手順を進行します。

ワレットを一旦放置し、デックでスペードの3をフォースします。アンダー・ザ・スプレッド・フォースを使うことが多いのですが、お好みのフォースを使用してください。
カウントミーイン、マスターマインドなどを演じることも良いと思います。

演者:「先ほど、このパスケース内に封筒があったことを覚えていますよね」と言いながらワレットを開け、封筒を出して渡し、中を改めてもらいます。予言が成立します。

既にピークが完了していますので、例5の現象に移行します。

以上、MMメンタル・ウォレット、6つの手順でした。<橋本英司さんからの投稿>

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