予言成立のためのサトルティ

【2択時のアウトにおける観客の心理 考察】

例1,MAGIC用ワレット

ヒンバーワレットは内装が同じ面が2つありますから、カードなどの2択時のアウトに使えます。
● 何かしらの適した手順を経て、「ハートのAか、ハートの2のどちらか」をフォースしたとします。
演者は観客が最終的に決定するカード1枚が、どちらになるのかがわかりませんでしたが、事前準備されたヒンバーワレットがあり、2枚のいずれかということを知っているため、予言は成立します。

● 現象は奇術として成立しています。問題はそれを見て観客がどう感じたか、です。
● 最後にハートのAを選んで予言と一致した場合、一部の観客が考えることは「もしハートの2を選んでいたら演者はどうしたのだろう?」です。そのように直接質問されたこともあります。
● この意識が「ハートの2を選んでいたら失敗したはずなのに、不思議だなあ」で終われば良いのですが、困るのは「どうせどちらを選んでいてもうまくいくようになっていたんだろ」と思われることであり、こうなってしまうとどんなに巧妙な、斬新な原理で手順を進めても、奇術の生命である肝心のインパクトが弱くなってしまいます。

この問題を軽減、いえ、解決しましょう。

● ワレットを出す時に「これは後で使います」という台詞に加えて、「これはパケットケースと言って、数枚のカードを入れておくものです」と言ってしまいます。

ワレットが財布に見えない形状であってもパケットケースと言うことで怪しまれにくくなります。

●「パケットトリックというジャンルがあって、例えば5枚のカードだけで手品をするような・・・」と説明しながらワレットを開けます。するとESPカードが数枚入っています。
演者はうっかりしていたような表情で軽く驚いてESPカードを全て取り出してワレットを空にします。
● 改めてデックからハートのAを抜き出して、観客に表を見せずに「予言のカード」としてワレットに入れます。

● 裏色の違うデックを出して、手順を進め、「ハートのAか、ハートの2のどちらか」をフォースし、ワレットから「先ほど入れた予言のカード」を出して公開します。

どうでしょう? だいぶ印象が違うとは思いませんか?

『最初から用意してあったワレット』を使うのと、『今、用意したワレット』を使うことの違い。

● そして、『何が入っているかわからない謎の入れ物』を使うのと、『入れ物の中を空にした様子を目の前で見せて、1枚のカードを入れたパケットケース』を使うことの違い。

『予言のカード入れ』の効果、その説得力として、後者が優ると捉えています。

(【Z型ジッパー付きミニヒンバーウォレット】には10~12枚のESPカードが入りますので、必ずと言っていいほど上記手順を使っています。)

例2,演者の上着ポケット

全く同じことですが。

「ピンときたカードです」と言って上着のポケットに1枚のカードを入れるのと、
「ピンときたカードです」と言って上着のポケットに1枚のカードを入れようとして、上着のポケットに財布やケータイが入っていることに “気づき”、それらをテーブルに出してから「このカードをポケットに入れておきます。あとで使いますね」という手順を踏むのと、
どちらが「今、演者のポケットの中はカード1枚だけが入っている」と思うでしょうか。

私は後者であると思います。演技がわざとらしく拙いのなら逆効果ですが。

ただ単に直接、入れ物に何かを入れるよりも、入れ物から1度、中身を出して、改めて何かを入れるのとでは印象が違います。
前者よりも後者のほうが 「空の入れ物の中に1つ入れた。入れ物の中には1つ入っている。」と思いこむのが人間の心理です。

中が空であることを見せていなくてもこの錯覚は無意識に起きます。

アウト時だけではなく、ポケットスイッチ(デックスイッチやパケットスイッチ)をする時も同様の効果があります。

注意点は、演技のテンポが悪くなるなら、このサトルティはサトルティにならないということです。