不可能なカード当てをレギュラーデック、セルフワーキングで演じる方法

これはオープニングに演じるトリックとして適しているものです。

現象

● デックを検め、カットやシャッフルをしてから裏向きでテーブルスプレッドします。
● 演者が背を向けている間に、観客は1枚のカードを覚え、好きな箇所に差し込んでデックを揃えます。終わったらその旨を伝えてもらい、向き直ります。
● 演者はシングルカットをしてからデック内を見て、当ててしまいます。

解説

全く同じ現象を、とある商品・トリックデック(※マルチイフェクトデックです。)で行うと楽ですがレギュラーデックでも可能です。

セットが必要です。
トップからボトムまで順にメイトの黒2枚、メイトの赤2枚、メイトの黒2枚、メイトの赤2枚、・・・というように52枚フルデックセットアップします。

パーフェクトフェローが出来れば演技中に、シャッフルと同時にこのセットに出来て不思議の度合いが増すでしょうが、別にそこまでは必要ありません。
なお、JOKER2枚はテキトーな箇所に。または抜いておいても良いと思います。

検めは表向きでのドリブルです。
JOKER2枚を取り除き、「トランプを使ったMAGICを行います」と言いながらドリブルをすると、赤黒の様々なカードが見え、自然なデック状態に見えます。

裏向きでのドリブルでもOKで、右手から左手に落としていく際に右手パケットのボトムカードが常に見えている斜めのドリブル1回で、メイトスタックには気づかれません。

もし仮にドリブルが苦手な場合は、(「バラバラです」「よく混ぜられています」とは絶対に言わずに)「こうして分ける場所で色んなカードが見えますね」と言いながら、カットで持ち上げてはボトムカードを見せることを数回繰り返す検めでも結構です。

シャッフルはオーバーハンドシャッフルでトップから偶数枚ランしては残りを重ねることでセットが保たれます。
正確なランが苦手な方は左手親指に保湿クリームを塗布すると上手く行きます。

カットは、少なめの偶数枚をトップからボトムに回すダブルカットで混ぜた感覚が出ます。勿論、このカットは省略しても構いません。

以上でデックは通常の状態に見えますがセットは保たれています。

表向きのスプレッドで検め見せることが出来ないというだけであり、この後にセットを崩しますし、まるで超能力のようなカード当てを演じるので、あまりしつこく検めやシャッフルにこだわらぬようにします。

現象のように観客に行ってもらい、向き直ってコンプリートカットを1回すると、トップとボトムにメイトが別れている場合がありますが、これは直前の演者によるカットで別れただけですので無視します。
気になるならカットをもう1回して戻します。

演者のカット1回は観客がカードを戻した位置を不明にする効果があるので演ったほうが良いです。

観客はデックの上の方に戻したか下の方に戻したかを知っています。
演者がデック内のその辺りで手や眼を止めたら「やはり、配列などに何らかの法則・手がかりがあった」と悟られかねません。
カット1回がそれを消します。重要ですのでカットはしましょう。

デック内を見て、どこかのメイトの間に1枚、別のカードが挟まれていたらそれが観客のカードです。
どこにも挟まれていない場合は、離れた場所に2枚のメイトカードが見えます。そのどちらかが正解ですので、2択時のアウトをして当てます。
慣れるとデック内を2、3秒見ただけでここまでの情報を得られます。
得られますが、ここでわかったような素振りはしないほうが良いでしょう。

2択時のアウト

2択と言ってもメイトです。

例えばハートの3,ダイヤの3のどちらかであると知っていれば観客にカードを提示する前にかなりの情報(特徴)を言えます。
まずデックを裏向きにしてリフルシャッフルなどでセットを崩しながら「ちょっと難しいですね。無謀だったかな・・・。第六感、直感力では、なんとなく赤いカードのような気がするのは確かですが・・・。数は少なめで・・・」
この時点で2回以上のリフルシャッフルをし、セットアップしていた証拠はなくなり、観客は「もう概ね当てられてる!」と驚いています。

「数字は・・・3かな?」と言いながら1枚のカードを手にして、このあとは⇒MAGICブログ『セルフワーキングによるカード読心術』にあるアウト法を使って当てます。

その他のアウト

上記例であればダイヤの3をトップに置いて右手にハートの3を持ち、「赤いカードですね。これだと思います。では覚えた3のカードをおっしゃってください」と、既に完全にわかっているかのように言い、返答次第でそのまま右手のカードを見せるか、満足気に頷いてダブルターンノーバーによりダイヤの3を見せるかのどちらかで処理します。
トップチェンジが出来るならそれでも良いと思います。

スライハンドを使わないなら、デックのトップとボトムにハートの3とダイヤの3をセットし、観客に半分に分けてもらって、クロスカットアウト(返答次第で上パケットのボトムを見せるか、下パケットのトップを見せるアウト。
⇒MAGICブログ『観客がカットしてカードを当てる』参照。)で処理します。これが最も簡単で不思議でしょう。

このカード当てを演じる意義

演者が背後を向いて指示をする類の奇術は好まないのですが、これは観客が間違うことなくやってくれるでしょう。覚えて戻して揃えるだけですから。

「演者、観客共にストレス無く簡単であり、およそ不可能な状況下で当てられる」という高いインパクトの要素も勿論あるのですが、私は実はこれをマークドデックで演じています。何故?とお思いになるでしょうが事実です。あまりにも大胆にマーキングされたデックを使っても問題ありませんでした。

(イモーショナル・リアクションなどの手順を踏めば話は別ですが)
カットして分けた上パケットのボトムカードを、通常のマークドデックで当てることは(このままの状態では)無理です。それでも演じた後に「印がついてるんじゃないの?」と言ってくる観客はいます。
この疑いはカード当ての宿命かも知れません。

カード当てを簡単に演じられる仕組みであるマークドデックでも(一部の例外を除き)、本手順では演者が背を向けていますので絶対にマーキングを読み取れません。
ということは、これはマークドデック使用という選択肢を観客の頭から外させる効果が付属する優れた手順なのです。
だからこそ、マークドデックというものを知っているであろう奇術マニアを含む観客には有効であり、このカード当てを見たあとはデックを間違いなくノー・マーキング・カードの集まりだと思いこんでいます。
確実にそう言えます。

何故なら、“マークドデックを使って、なお、わざわざマーキングを無視した別の原理でカード当てをするマジシャン”は通常、いないからです。

そのうえで次に“マークドデックでなければ不可能な、カード当てではない演目”を行えば、本当に魔法のように見えることでしょう。
【マークドデック解説書】25頁、『パイルの予言』が簡単で効果的です。

また、事前に裏色の違うクラブの9を封筒に入れて「後で使います」として置き、本手順でデック内をチラッと見て偶然黒い9を選ばれたことを知ったのなら、カードを当てるのではなくクラブの9ジャストミートの予言、またはスペードの9を選ばれてもメイト予言、このいずれかが1/26の確率で起きます。
「黒いカードで9ということはピンときたのですが・・・」と言って、封筒に気づいて「あ。確か・・・」と言って開封させればメイト予言でもかなり不思議でしょう。
2択時のアウトも必要ありません。

この場合、黒い9以外を選ばれたならカード当てとして本手順で当てて、2演目めでクラブの9を【カウント・ミーイン】などでフォースして公明正大な予言という形も手順次第で可能です。
「後で使います」の「後で」を「いつ」と明示しないで都合良く曖昧に使った言葉のトリックです。

※ 「何を選ばれてもそのカードがワレット内に飛行」という手順もあります。通常の財布とレギュラーデックで演じられるトリックです。これはまたの機会に。

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