セルフワーキングによるカード読心術

【伝統的メンタリズムの原理に則った、セルフワーキングによるカード読心術】

<現象概要>

● 演者は一組のデックをあらため、シャッフルし、裏向きでテーブルに置きます。
● 観客にデックの半分ほどをカットして取り上げてもらい、さらに好きな場所からパケットの上下を入れ替えるカットをしてもらいます。
次いで6枚のカードをパケットから取り上げ、心の中で見て決めただけのカード1枚を覚えてもらいます。
● 2つのパケットをひとつにし、6枚のカードを好きな場所、バラバラに入れてデックを混ぜてもらいます。
● この間、ずっと演者は背を向けていてカード裏さえ見ていません。
● この条件で、観客が見て決めただけのカード1枚を当ててしまいます。

<解 説>

● レギュラーデック3つを使って次のようなトリックデックを作成します。

3組のデックから、

クラブの3,ハートの7,スペードのジャック、スペードのクイーン、ダイヤのキング、ハートのジャックを抜き出し、この配列で18枚のスタックを作ります。
(C3、H7,SJ、SQ、DK、HJ、C3、H7,SJ、SQ・・・)
● 18枚スタックがトップになるようにボトム側の34枚を加え、適した箇所にJOKER2枚を入れて完成です。

● このカード読心術単体でも充分に実践的ですが、ボトム側の34枚から数枚抜き出して簡単なパケットトリックを一度見せるようにしています。
例えばオイルアンドウオーターを演じる場合、黒4枚、赤4枚の数札を表向きで抜き出したりの作業そのものが「色んなカードがある」「システムなどをセットしていたとしても8枚を抜き出し、演じ終えたあとデック内に無造作に差し入れることによってセットは崩れている」と暗に示し、デックをレギュラーに見せることが出来ます。

パケットトリック終了後、

演者:「今のは手品ですよね。明らかに、誰が見ても手品を使わなくては出来ない芸当です。では、手品の技術では考えにくいことを演ってみたいと思います」

● この台詞と同時に、デックを表向きでヒンズーシャッフルし(18枚スタックは崩さない)、ボトムからトップに4枚、ランで加えて準備完了です。

● デック状態はトップ方向から、任意のカード4枚、スタック18枚、任意のカード30枚です。この状態になる混ぜ方であれば他の方法でも結構です。

● デックを置いてカットで約半分を持ち上げ、その約26枚パケットをコンプリートカットすると、よほど偏ったカットをしない限り、必ずパケットのトップ6枚はC3、H7,SJ、SQ、DK、HJ(順番は変わるがデュプリケートが混ざらない6枚)になります。
● このカット作業を間違うことなく出来るであろう、ある程度カード慣れしている相手が観客であれば、演者は背を向けて指示をしたほうが不思議なマジックになります。
手元がおぼつかず、失敗しそうな観客であれば、演者は前を向いて手本を見せたりしながら指示をしましょう。
ここのカット2回は必ず観客の手によって行わせるようにします。
リフルフォースのように弾いてストップを掛けさせ、演者が分けるなどの手順にすると説得力が弱まり、よくありません。

観客自らの手で分けたところのカードを使うことに意味があります。

6枚をファンに広げて持っている観客に対し、

演者:「今持っている数枚の中に同じ数字のカードはありますか?もし仮にあればそのカードは無視して、1枚のカードを心の中で決めてください。直感で、第一印象でこれという1枚を決めてください」

● 同数字のカードはジャック2枚です。したがって、観客が覚えるカードはC3、H7,SQ、DKの4枚うちの1枚になります。

● 観客が決めたら6枚を混ぜさせ、デックの好きな箇所にバラバラに入れさせ、全体をシャッフル(裏向きです)させます。
ここまでを演者が背を向けて行えたら完璧です。
絶対に不可能なカード当てに見えるはずです

● 演者は向き直り、開口一番、「あなたが決めたカードは、赤いカードだと思います」と言います。

● 続けて演者:「ノーヒントで正解に近づくには根拠の無い勘に頼るか、もし自分があなたの立場ならどうしただろうかと考えるしかありません。
私は『直感で、第一印象で』と急かしましたので、咄嗟にあなたが決めたのは、黒より目立つ色の赤いカードではないかと。
私ならそうなってしまうだろうと思いましたので。
混ぜられたデックからランダムに選ばれたカードが6枚もあれば全部黒いカードということは先ず無いでしょう。
赤いカードという読み、どうです?合っていますか?」

「YES」であればハートの7か、ダイヤのキング
「NO」であればクラブの3か、スペードのクイーンです。

● 「YES」の場合は演者の読みが当たっていたというシナリオですので、堂々とデックを持って1枚のカードを提示出来ます。
実際には二択時のアウトをします(後述)。

● 「NO」の場合は読みが外れたわけですから、潔く「外れましたか。ではもう何も訊けません。ノーヒントで当ててみます」と言ってデックを持ちます。
2回以上質問をすることに抵抗がある演者には演りやすい進行です。
1回目の色のリーディングも、あからさまな質問には感じない台詞に仕上げています。

● つまりどちらにせよデックを持って広げ、二択時のアウトに繋げられる段階まで来ているわけです。
早いですよね。
おそらく観客は、「デック内を見てもいないのに、知らず知らずのうちにここまで来ていた」という感覚に驚いていることでしょう。
演者の為していることは最初のシャッフル以降、殆どハンズフリーです。

・二択時のアウト例

1つだけ、スライハンドではない手法をここでは解説します。

正解のカードがハートの7か、ダイヤのキングのどちらかだとわかっているとします。
デックからダイヤのキングを出して裏向きでテーブルに置き、「あなたが決めたカードはハートの7ですね?」と問います。

観客が「YES」と答えたら「当たって良かったです。ご協力感謝します」と、実験に立ち会ってくれた相手に例を述べて終了です。

テーブルに置いたダイヤのキングは見せずにデック内に差し入れてしまいます。

「NO」と言われた場合は、ダイヤのキングが正解ですから「ぇ?NO?そんなはずは・・・」と言ってテーブルに置いたカードをめくって「ああ、失礼。当たっていました。」これで終了です。(黒いカードの場合も同様に行います。)

覚えることは台詞とカード4枚の名称のみ、難しい技法も使わず、殆ど演者が何もしないセルフワーキングで、結構フェアに見えるカード読心術です。

レギュラーデック3つなら2千円以内で買えるでしょうし、演技後は元に戻して通常のトランプとして使えます。

トリックデック作成と言っても、全く無駄がないのです。ラフやショートカードなどの加工不要、ギミック無し、ペンシルドットもマーキングもクリンプも不要、ブレイクさえ使いません。

この手のカード読心術では珍しい部類で、質問もさり気なく、1つしかしていません。メンタリズム入門奇術でもあり、カードマジックを始めて未だ数ヶ月のような方におすすめします。

この手順であれば6枚のカードフォースには気づかれません。是非、お試しください。

・同数字のカード除外について

「イメージを読み取るので、似たカードが複数枚あると紛らわしく、当てる自信がない」という理由を述べることで充分です。

慣れたらジャックを除外せずに6枚からでも同様の現象を起こすことが可能です。難易度を下げるためと、ランダム性を高めるために最初から4枚にせず、6枚から2枚を除外する手順にしました。

・応用

18枚スタック部分をデュプリケートカードで組めばフォーシングデックになり、レギュラーデックひとつでトップから任意のカード6枚、同スートのカード13枚、残りのカード33枚であればスートのフォースに使えます。