私は手品師ではありません

マニアックです

● 現象はカード当てですが、この手順の良いところは前提が「私は手品師ではありません。手品で当てるわけじゃないのです」と設定しているため、まあ、緊張して手が震えていても良いですし、モタモタしていても良いということです。

●「見破られたらどうしよう」という、不安やストレスがありません。スライハンドも要らないし、(本当に手品でないなら)かなり不思議です。

● 最後に種明かしすることで初対面の方とコミュニケーションがとれ、仲良くなれます。
(嘘の種明かしですが、種明かししたほうが驚かれます。)

● 通常のカード当てよりも時間がかかりますが、手品で当てるよりも観客は驚異を感じるように思います。
「所詮、手品だろ?」と思われそうであれば、「手品じゃないのにこんなに不思議なの?」と思わせたほうが何かと都合が良いでしょう。

● また、引かれたカードを返してもらいませんので、相手に覚えてもらわなくても良いという長所があります。
覚えてもらって、返してもらって当てても嘘をつかれると外れたことになってしまいます。
そういう意地悪な相手はそもそも手品が嫌いなのかも知れません。

「手品ではない」という設定はここでも生きてきます。

用意するものはレギュラーデック1組

<現象概要>

シャッフルしたトランプから1枚引いてもらって、手に持っていてもらいます。
演者は残り51枚を見て『足りない1枚』を言って、当てます。

必ず、「手品で当てるわけではない」旨を述べてから演じてください。
種明かしは、求められたら行ってください。

<解 説>

複数の方法があります。
最初に1番確実な原理を解説します。

ア) スートは関係なく、「Aと9」「2と8」「5と5」のように「足して10になるペア」を作って2枚ずつ隣同士で並べていきます。
10以上のハイカードは「10とJ」「QとK」のように例外のルールでペア作成して演じていますが、イメージしやすいペアを自分で作っても構いません。

先に「これは手品ではない」と言っているのでざっとした、簡単な検めで良いと思います。
凝視されなければ法則性には気づかれません。
そしてオーバーハンドシャッフルかヒンズーシャッフルでまともに混ぜてもらいます。
セットは崩れますが、問題はありません。リフルシャッフルはダメです。不安があれば演者が混ぜましょう。

フリーチョイスで1枚引いてもらいます。
残りデックを見てペアを修復していきます。結構簡単に修復できます。(オーバーハンドシャッフルやヒンズーシャッフルはブロックごとのカット数回です。ランニングカットと同じで、さほど混ざりません。)

すると最後に1枚残ります。
仮にその1枚がQであれば引かれたカードはKで、その1枚が4であれば引かれたカードは6です。

これで数字がわかりましたからデック内に残る、同数字3枚を確認すれば選ばれたカードのスートがわかりますので当てられます。

約20秒もあれば当てられます。
コツは数字が判明した際に「わかりましたよ」と言ってしまうことです。
未だ限定は出来ませんが、「早いな!」と感じさせるサトルティです。
例えば数字が9なら「大きめの数字、アルファベットではないですね。」のように特徴を言いながら残る3枚の9を見ていきます。

順番として黒い9が2枚見えたらそこで「赤いカードで・・・」と言えます。
最後にハートの9が確認できたら「ダイヤかな?」と言って、もう当てられますので「ダイヤの9ですね」と断言します。

ダイヤの9を返してもらえばリセットできたことになります。
リセットできたら、マルチイフェクトデックの(Biddenden)がレギュラーデックで演じられます。

嘘の種明かしについて

トランプの数字は全部足すと364です。
カードを広げていって1の位を足していきます。
二桁になったら十の位を無視して1の位のみ足していくということです。
足し終えて例えば8という答えが残れば、それは51枚の合計が358を表しています。
358は364より6少ないので、引かれたカードの数字は6と判ります。
あとは6のカード3枚を見ていけば引かれたカードのスートが判ります。

という、嘘の種明かしです。(演ってできないことはありませんが、算数、数学どちらも苦手な私には頭がストライキしてしまうものでした(笑)。)
手品のまともな種明かしよりも「スゴイ!」「超人だな!」とびっくりされますよ。
手品、マジックを嫌う観客に見せるカード当てとして適しています。
「そろばんやってるんですよ。フラッシュ暗算も出来ましたから。」と言えば「なるほど、手品とは言えないな」と思ってくれますし、
さらに「そう言われて思い返せば、計算していたように見えたよな」と感じるタネです。

イ) これはセットが簡単です。ただし、ア)の方法のように観客にシャッフルさせることは出来ません。
原理としては面白みがあります。

セット: 10、J、Q、Kの16枚を順不同でトップに集めます。これで準備完了。

ジョグシャッフルなどでトップ16枚をキープします。
1枚をフリーチョイスで引いてもらいます。

エスティメイションしてトップ16枚から引かれたか、他の36枚から引かれたのかを判別します。エスティメイション出来ないならドットを打っておきましょう。

16枚から引かれたのであれば「そこにない10、J、Q、Kのハイカード」を見つけることは容易です。

36枚から引かれた場合は、1の位のみ、35枚、足していきます。
足し終えた後、仮に答えが2であれば(10ー2=8)で、相手が引いたカードは8です。
10からその数字を引けば相手のカードの数字になります。
あとは ア)と同様です。

ア)よりも時間はかかるでしょうが、やり甲斐はあります。嘘の種明かしはしますが、半分は本当です。

他にも方法はあるでしょうし、記憶術という設定も良いかも知れません。

「システムやマークドデックを使えば一瞬で判るのに何故遠回りを?」とお思いになられる方もおられるでしょう。
たぶん、好みの問題です。
橋本は、カード当ての原理をいくつも知っておきたいのです。
早いから良いとか、派手だから良いというのは確かに頷けます。

カード当てを旅行に喩えることが多いのですが、目的地に着くまでに飛行機を使えば楽で早いでしょう。
でも、飛行機に乗っていては、バスや自動車や船や電車の窓の景色は見えません。
ヒッチハイクには危険がつきまといます。それでもヒッチハイクにしか味わえない魅力はあるでしょう。

ア)も、イ)も、演ってみると良いことを学べました。
どんな方法も一長一短あります。
長所があってもなくても、知っておきたい。ということです。

備考

「これは手品ではないので、では手品ではないならどういう解決策があるかな、と考えながら見てください」と言えば、とてつもなく気楽に色んな事が演じられます。
まあ・・・マークドデックにもシャイナーにも、気づかれませんよね・・・。

ただし、度が過ぎるのは良くないので納得のできる種明かしは考えておくことが最低限のマナーです。
手品ではない、のですから。

ここで述べたかったことは、「これから手品を演ります」と言って演る手品と、「これって、手品とは言えないんですけど演ってみますね」と言って演る手品とでは、後者が演じやすいということです。特に手元がおぼつかない初心者には。

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