効果的で易しいフォールスシャッフル

失敗の許されない「高度なフォールスシャッフル」

と聞けば、「一旦は本当にある程度混ぜて、それを更に混ぜたように見せながら元に戻す」、
または「明らかに『よく混ざった状態(パケット同士が噛み合った状態など)』を見せて観客を安心・油断させ、ミスディレクション等により一気に元に戻す」ものが多いです。
これには、相当な練習が必要であり、練習中で100回中99回成功する腕があっても本番でミスったらそこで予定手順が崩れてしまいます。
100%成功する腕前になるまで練習するにはそれなりの覚悟と根気と時間と知識と才能(センス)が必要です。

カード当てでキーカードの位置が概ねわかっている場合は、

その箇所さえ崩さなければ良いのでかなり楽にデックの大部分を混ぜられます。
これもひとつのフォールスシャッフルだといえます。
キーカードの位置が全くわからない場合は、シングルカットダブルカットヘイモウシャッフルぐらいしか出来ませんが、プッシュスルーシャッフルザローシャッフルが完璧にできれば大きな武器です。
デック全体を崩さないわけですから、何処にキーカードがあろうと関係ないわけで。

「どのフォース技法が最も優れているのか」

使いどころ、演目の質によってフォールスシャッフルは方法を変えるべきで、これは過去に奇術仲間が集まって行った、「どのフォース技法が最も優れているのか」という議論の場でも同様の意見が出ていました。
フォースもカードコントロールもフォールスシャッフルも全て同じ。使いどころによって適した方法を選択する、これが正しいはずです。

<スタックデック><メモライズドデック>等におけるシャッフル

「ザ・コード」(商品)やサイステビンス、キラシステムなどのシステムデックなどは基本的に演技冒頭にはシャッフルできない・シャッフルしないデックです。
1枚でもミスったら現象が起きないデックは下手にフォールスシャッフルをしないほうが賢明で、先に述べた「キーカードの位置さえ崩れなければ良い」という類のものではありません。

メンタリストは技法でフォールスシャッフルをするより、シャッフルしなくても良いような、混ぜても混ぜなくてもどうでもいいような、そんな空気を作るスキルに長けています。
何となくシャッフルする意味が無いように思える錯覚を起こさせるとか、「とっとと、早く実験をスタートしましょう」と自然にシャッフル省略したりとか、または一度も混ぜていないのに「冒頭に確か混ぜていた」と観客の潜在意識にすり込ませたり、実に巧妙です。
(観客にレギュラーデックを混ぜさせる→デックを受け取って両手の上で広げて1枚を引かせる→演者は背後を向いて「ではそのカードを皆さんで覚えてください」と言いながら堂々とデックスイッチ→正面に向き直る。これも広義の『ノースライハンドのフォールスシャッフル』でしょう。)

メンタリスト特有の巧妙な台詞例

デック検めの際にスプレッドして「トランプを使います。バラバラです」と言わず、「色んなカードがあります」という台詞のみにとどめる。これは大変有効な台詞だと捉えています。
「バラバラです」と聞けば人は「本当にバラバラ(順不同。ランダム配列。)かどうか」という眼で注意深く見ます。
この見方をされると最も嫌なものがシステムデック類ですので、「バラバラに思わせたいシステムデック」使用なのに、「バラバラです」という演者の台詞は時として逆効果になりうるわけです。

かたや「色んなカードがあります」という台詞であれば「色んなカード?どれどれ・・・」と、「本当に同一カードが複数枚含まれていないのかどうか」に対し注目しますので、カード配列に関しては留意せず無防備・無頓着になります。台詞も技法同様、使い方次第ですね。

マジシャンは嘘つきであると一般に思われていますが、嘘をつかないほうが多いと感じています。その顕著な例がこれで、ひとつも嘘を言っていない台詞が「色んなカードがあります」です。
演者が嘘を言っていないから観客は信じて(安心して)演技を見るのです。

私も実演中、嘘をつきながら演じることはありません、と断言したいぐらい嘘を言いません。「あなたが思った数字が見えてきました」←透視の演技中の台詞です。本当に見えたのでこういう台詞を堂々と言えるのです。
ピークワレットは使っていますけど(笑)。
嘘ではないでしょう。
フィッシングを使用する際も「ごめんねー・・・ここだけは使わさせて!」と心の中で謝りながら「ん・・・?あれ?・・・あなたは、赤いカードを思っているわけではありませんよね?」と言っています。
⇒ あながち嘘とはいえない言い回しかな?

言葉が足りないことを嘘とは言いませんし。あまりにも大きな嘘をつきながらマジックを演じていると後ろめたさが生じ、演者のどこかにおかしな所作が増え、不自然な演技になりがちです。マジシャンは正直者ですよ。

自称霊能力者、自称超能力者こそ・・・(割愛)(笑)。

「ザ・コード」などのシステムデック専用簡易フォールスシャッフル

「システムデックを、どうしても演技冒頭に混ぜたい」という方にオススメの、とても簡単な方法論をひとつ挙げておきます。

事前に次の作業をしておきます。

通常とは反対の持ち方でオーバーハンドシャッフルをします。「表向きでのオーバーハンドシャッフル」です。

表向きでボトムから6枚ランして右手パケットを乗せます。
次に同様の動作で8枚ランして右手パケットを乗せます。
このデックをカードケースに入れておき、準備完了です。

演技冒頭、スプレッドして「色んなカードがあります」とでも言いながらデックを検め、通常の向き(裏向き)でオーバーハンドシャッフルをします。
何か話しながらトップの8枚を1枚ずつ左手にランして取っていきます。
ラジオ体操の「いち、にぃ、さん、しっ」というリズムのように、8枚ランは特に意識して数えなくても体に染み込んだリズムです。
思った以上に無の状態で正確なランが出来ます。左手に8枚取ったら右手パケットを乗せます。

一度軽くドリブルをして、何か話しながらデックを両手で揃え、「では始めますか」という空気を作ります。
再び何か話しながら(演目の質、現象についての大まかな説明をすると良いと思います。「マインドリーディングという言葉、ご存知でしょうか」のように。)
再度、通常の向きでオーバーハンドシャッフルをします。

トップから3枚ランして、手を止め、また何か話します。
話し終えたらまた3枚ランして、左手にある6枚の上に右手パケットを乗せます。

以上で元通りに戻っています。

これはフォールスシャッフル(嘘の混ぜ方)というより、本当に混ぜている軽いシャッフルですが、事前に反対のカード移動を施しているので、再度反対のカード移動をランによって完了させることにより、元に戻す作業が終了している、だけです。

「だけです。」が、高難易度のフォールスシャッフル並みに強力になりうる方法のひとつであると捉えています。

「恐る恐る、丁寧に几帳面に、実に慎重にリフルシャッフルをしている」ように見えてしまう未熟なザローシャッフル、プッシュスルーシャッフルをするより、自然だとは思いませんか。